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読書感想文/マーケティング/広告/アメリカ市場など。基本的にフィクションです。

短編小説

【短編小説】目に見えない⑥(完)

部屋に帰ると、リサがいた。そして、マユコもいた。珍しい来客に驚いていると、リサがにやついた顔で近づいてきた。部屋の入口に立つ僕の真正面に立ち、首に腕をまわしてくる。 「へぇ、浜野くん、そんな風に思っていたんだ?」 鼻と鼻が触れるほどに顔を近…

【短編小説】目に見えない⑤

「どうしたら良いと思う?」 下北沢のファミレスのボックス席で、僕は小澤に尋ねた。「なにを?」「だから、リサの浮気に対して、僕はどうすればいいのかな」「どうもこうも、許してもらったんだから、もう良いんじゃねーのか?」小澤は面倒くさそうに言った…

【短編小説】目に見えない④

「で、浮気していた証拠とか、あるのかよ?」 小澤がストローの先端を噛みながら聞いてきた。グラスの中は空っぽで、アイスコーヒーの氷もなくなっていた。口の寂しさを持て余していた小澤はストローをしきりに噛んでいた。 下北沢にあるファミレスのボック…

【短編小説】目に見えない③

◆3章◆ 「小澤くん、強引だね」リサは呆気に取られたように言った。 「いつもあんな感じだよ」たまに、誘拐なんじゃないのかと思ってしまう。 「マユコ、ヤられちゃうのかな」 「たぶん、ホテルの部屋についたら、小澤は暖房を入れると思う」 「こんな暑い、…

【短編小説】目に見えない②

◆2章◆ 小澤は僕と同い年で、つまり25歳で、大学時代からの友人だ。この粗野で我侭で、強引な男とどこで馬が合ったかわからないが、大学を卒業して社会人3年目となった今でも、たまにこうして顔を合わせている。 僕は紙ナプキンで口元を抑えながら、小澤…

【短編小説】目に見えない①

◆1章◆ 「フェラをした直後にキスをせがんでくる女の神経が理解できない」 小澤はほとんど残っていないアイスコーヒーの底を、ストローでズーズー吸い上げながら言った。子鹿のようにつぶらな冷たい瞳で、こちらを上目遣いに見てくる。 僕は小澤の下衆な発言…