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効率的に知識を取り込み、論理力を鍛える方法 [書評]

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新・独学術――外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法という本を読んだのでご紹介します。

 

さて、突然ですが、前職のエンジニアの方が言っていた、印象に残っている言葉があります。

「総合職(文系)の人は本当に勉強をしない。一番勉強している部類の人でさえ、ほとんど勉強していないエンジニアよりも勉強していない」

 

普段から貪欲に新しい技術を取り込み、勉強をするために早くに帰宅し、ライトニングトークなどで共有知の輪を広げようとしているエンジニアたちを間近で見ていたので、その言葉はグッと胸に刺さるものがありました。

 

もしかしたら本書の著者も、遠回しにそんなことが言いたかったのかもしれません。

 

日本のビジネスパーソンは圧倒的に学習量が足りない

全く遠回しではありませんでしたが。著書曰く、海外のプロフェッショナルと比べて日本のビジネスパーソンが明らかに劣っている点が「学習量」だそうです。

知識のインプットと論理トレーニングの量において大きな差があるとか。

 

たとえば海外のビジネススクール外資コンサルティング会社では、大量の知識のインプットと、議論を深めるための論理的思考が要求されるのに対して、日本の一般的なビジネスパーソンは彼らほどの大量のインプット、アウトプットを毎日積み重ねている人はほとんどいないのではないかと。

 

ましてや世界のエリート教育は超学歴社会になりつつあるのに、ビジネススキルの核となる「知識」と「論理」については、磨き方も含めて体系立って学ぶ機会がほとんどなく、これはやばいぞと、警鐘を鳴らしています。

 

そこで著者が提案するのは、「参考書」という効率の良いテキストを駆使して、知識と論理力を両輪で鍛えろ!という案。

 

なぜ参考書なのでしょうか。

 

「時間効率」の高い方法で取り組める

参考書を使うメリットとして、以下の3つが挙げられています。
①知識を効率的かつ網羅的に学習できる
②問題を解くことによって、正しい答えを導くスキルを身につけられる
③質が高いのに、費用が安く済む

 

たとえば経済学を学びたいと思っても、いろいろ網羅しようと思うと書籍の種類もテキストも多岐にわたってしまいます。

一方で参考書では、問題を数十問こなすだけで経済史もミクロ経済学マクロ経済学も全体像を俯瞰できます。

 

また、問題を解くことで知識が「自分のもの」になります。そして、やたらめったら書籍を買う必要がなくなるから経済的。

ということで、参考書で効率よく学習しようというのが本書の大きなメッセージです。

 

参考書が効率的だというのは分かりましたが、知識と論理力をどう効率よく取り込み、鍛えるのか。そこが問題です。

 

知識は最重要の「教養」を効率的に取り込む

知識の効率的な取り込み方として、「政治経済」と「倫理」をお勧めしています。
理由は「政治や経済の知識は、自らのビジネスを理解するベースとなり得るから」です。


方法は、問題集に答えを書き、参考書を一気に読む。そしてスキマ時間にスタディサプリを聞く。詳細は本書で丁寧に説明されています。

 

倫理は、「ビジネスマインド」を育てるのに役立つといいます。

そもそも倫理とはなんなのか?著者は「さまざまな物事の本質を学び、自ら考える糧とするもの」と定義しています。

そして大学受験の科目としての倫理は、哲学、人間心理、宗教などに関するこれまで人類が思考してきたことのエッセンス集であり、人類誕生以来の叡智と、物事の分析の仕方を学べるとのこと。

 

論理力を鍛える

著者は現代文を学ぶことで、本物の論理力が身につくと説きます。
それは、現代文は文章の意図や著者の思考を客観的に理解するための科目であり、現代文で論理力を身につけることで、自分の主張に対して、きちんと理由を述べられるようになるからです。

 

そして説明力を上げる最高のトレーニング法として、小論文を推しています。
自らの主張を、説得力を持って相手に伝えるトレーニングとして効果的と述べていますが、たしかに、僕も学生のころTOEFLの勉強で小論文を繰り返し書いていたおかげで、「論理構成」というものに触れられる機会ができたように思います。

 

まとめ

先のエンジニアの方の言葉に戻りますが、(文系の)ビジネスパーソンの学習量が足りないというのは、確かに強く否定できないなーと思っています。

 

エンジニアであれば技術力を磨くことが良いプロダクト作りにつながるので、絶えず勉強を続けられているように見えます。

それはスポーツ選手が常に体を鍛えるようなもので、ある種の必然や動機があるからこそのように思えるのです。


一方、文系ビジネスパーソンにとって勉強というのはそういった必然や動機が見えづらい類のもののような気がします。それは「仕事で成長するにはさらなる仕事」といった意識が心の奥底にあって、それがある種の真理のような共通認識として蔓延していることが起因しているのではないでしょうか。

 

仕事のご褒美は新たな仕事、という考えに則るなら、新たな仕事にありつくための近道が、圧倒的な学習量ではないかと。そしてそのための効率的な方法が、参考書を駆使した知識量と論理力の鍛錬なのではと、本書を読んで思った次第です。


とくに小論文トレーニングはすぐに効果が見えそうなので、分かった気にならず、実際にやってみたいと思います。いつか。

 

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