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読書感想文/マーケティング/広告/アメリカ市場など。基本的にフィクションです。

効率的に知識を取り込み、論理力を鍛える方法 [書評]

新・独学術――外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法という本を読んだのでご紹介します。 さて、突然ですが、前職のエンジニアの方が言っていた、印象に残っている言葉があります。 「総合職(文系)の人は本当に勉強をしない。一番勉強している部類の…

ファイナンスアレルギーを克服したい全ての人に捧ぐ!一生モノのファイナンス入門![書評]

一生モノのファイナンス入門という本を読んだのでご紹介します。 「数値が苦手」「決算書を前にすると目がチカチカする」「いつかはファイナンス知識をつけたいと思っているけど...」などなど。 そんなファイナンス/決算書アレルギーを克服できる良質な入門…

2016年の振り返りと新年の抱負

あまり個人的なことを公にする趣味はないのだが、このところ自分の発信のありかたに思うところがあり、来年はもっと自分を晒していこうと自戒の念を込めて、個人的なことでしかない「1年の振り返り」を綴ろうと思う。 発信のありかたというと大げさに聞こえ…

聴く能力を高める5つの方法

聴くという能力が失われている。 この主張には個人的に思い当たる節が多々ある。僕自身はもちろん、周囲の態度も含めて。聴く — すなわち、受動的に漫然と聞くのではなく、積極的に意識して耳を傾ける。この態度、ひいては能力が失われているという主張は、…

オスマン帝国の復興

『大世界史』を読んで 世界史を学ぶことで、これまで点在していた各国の今の動きが、線で結ばれた気がした。 『大世界史』の本の趣旨はまさにそこで、起きている事象の背景、つまり歴史を理解することで、現在の立ち位置を正しく把握する。そして、流れの中…

Photograph

大好きな写真がある。 父が、まだ赤ちゃんの頃の弟を、川辺で不器用に抱きかかえている写真。 小さな体の脇の下を、両手で挟むようにして掬い上げる父の顔はぎこちない。 痛いのか怖いのか、弟は顔をくしゃくしゃにして泣いている。 写真の中では、父はいつ…

小僧の神様

--- それは秋らしい柔かな澄んだ陽ざしが、紺の大分はげ落ちた暖簾の下から静かに店先に差し込んでいる時だった。〜 「おい、幸さん。そろそろお前の好きな鮪の脂身が食べられる頃だネ」 --- 一文で季節と情景を描き、一言で味覚を刺激する。こんな端的に五…

マーケティングと共に フィリップ・コトラー自伝

『マーケティングと共に フィリップ・コトラー自伝』を読んだ。帯に記された謳い文句にふさわしい内容だと思う。 ◆「コトラーの原点に迫る最高の教科書」原点とはつまり、著者の生い立ちや思想の転換期を意味するが、著者本人の言葉で自身の家族、青年時代、…

土曜日の喧騒と日曜日の静寂

「あんたたち、耳を澄ますなんてこと、しないでしょ」と断定口調で言われたことを覚えている。 大学生の頃、スペイン語の講師から言われた言葉だ。 京都の私立大学の1コマを教える彼女は、齢五十を過ぎた白髪の日本人で、どこか変わった人だった。 何回目か…

世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられている仕事の基本

ヒカリエの前に季節外れの巨大なクリスマスツリーが現れ、薄手のジャケットでは凌げない寒さが底を覆い、駅前に酔っ払いが増えたら、もう師走だ。 まだ11月なのだが。 縺れる舌ともたつく足元とよれよれの背広が亥時の歩道を埋め尽くすなか、ポケットに手を…

リモーネの温度

吹きさらしのホームに、冬が訪れた。京都府の端、田舎町。駅には、風を防ぐものなど、ない。右から左へ通り抜ける小言のように、風は自由に走り抜ける。凍えるように寒く、手袋や、それといった類のものを持ってこなかった自分自身を、僕は呪った。 田舎の駅…

祖母のCEO

昨年の盆、名古屋に帰省した。数日間を実家で過ごして分かったことは、父親がとんでもなく早起きになっているということだった。その頃僕は、『21世紀の歴史は朝に作られる」なんて記事を読んだばかりで、早起きしたいなーと、漠然と"願って"いた。なんでも…

光り輝くクズでありたい

AV男優のしみけんさんは非常にストイックで、僕は、彼のそんなところを尊敬している。 AV男優への志願欲があるわけではない。しかし、定期的にトレーニングに勤しみ、毎朝、しっかりと栄養を補給する彼の生活は参考になるし、真似をしたいと思っている。 起…

僕が愛したゴウスト

扉を抜けると、そこは5分後の未来だった。 異世界に紛れ込んでしまった経験はあるだろうか。僕は、ある。正確には、幼心に異世界と信じて疑わなかった世界での経験に過ぎないのだが。 小学1年生の頃だった気がする。季節を正確に覚えていないのだが、薄着の…

叫び声

「することないなら、ワクワクすればいいんすよ」とは、職場の先輩の言葉です。自分の青春がどのような時代だったかを振り返ると、大概、根拠もなくワクワクしていたような気がするのですが、気持ちを昂ぶらせるだけで満足する、実態の無い妄想が一人歩きし…

Happy Wedding Onigiri

「俺が握ったおにぎり、食べられる?」突然の質問だった。土曜の昼下がり、幼馴染のタケの結婚披露宴。旧友たちが囲む円卓を突き破る、竜太の突飛な質問。「どうしたの、急に?」高砂に座る新郎のタケと新婦を横目に、軽やかに談笑していただけに、あまりに…

自堕落な曲

Miley CyrusのWe can't stopが好きです。「私は私のやりたいようにやる、誰も私たちを止められないわ」といった内容の、若者の勢いそのままの歌詞なのですが、単なる軽薄なパーティーソングに終始していないところに好感を抱きます。 マイナーな曲調の影響か…

トイレへの思い

トイレに対して、人並み以上の思い入れがあります。なぜそうなったのかは判然としませんが、恐らく人並み以上にトイレが近いからでしょう。「ザイオンス効果」をご存知でしょうか。接する回数が増えるほど、親しくなる作用です。僕とトイレの関係は、単純接…

部屋について ふたりごと

お題を与えられると、カーペットの染みのように、その一点を中心にジワジワとイメージが広がっていくのですが、テーマを選べと言われると、なかなか難しいものがあります。興味深いテーマとは何か、それは書き切れるものなのか、面白いのか、等々。 選んだ後…

諦め

2月は7月ではないし、手に入れることと、諦めることは、別問題だ。しかし、優しさは違う。 何かを諦めると、漏れなく優しさが手に入る。 それは焦燥のトンネルから抜け出すことで得られる、一時的な解放感かもしれない。脇道にある、タバコの休憩所でたむろ…

毎日の仕事柄

仕事柄、通勤には電車を使います。基本的に毎日、同じ駅を利用します。 不思議なもので同じ駅を毎日利用しても、景色は毎日違うのですね。道行く人々の服装も、茹だるような熱気と呼応するように移ろいを見せます。 「D判定じゃないか」と学生服の少年は興奮…

同窓会の後の話

年末年始について語ってみた。 やれやれ、僕は一日中パソコンと向き合っているのだが、未だかつてなっとくのゆく文章と巡り会ったことがない。 もちろん、自ら紡ぎだす文章のことだ。 「ねえ、一体いつまでブログの更新をさぼるわけ?」起き抜けに斉藤さんの…

【短編小説】目に見えない⑥(完)

部屋に帰ると、リサがいた。そして、マユコもいた。珍しい来客に驚いていると、リサがにやついた顔で近づいてきた。部屋の入口に立つ僕の真正面に立ち、首に腕をまわしてくる。 「へぇ、浜野くん、そんな風に思っていたんだ?」 鼻と鼻が触れるほどに顔を近…

【短編小説】目に見えない⑤

「どうしたら良いと思う?」 下北沢のファミレスのボックス席で、僕は小澤に尋ねた。「なにを?」「だから、リサの浮気に対して、僕はどうすればいいのかな」「どうもこうも、許してもらったんだから、もう良いんじゃねーのか?」小澤は面倒くさそうに言った…

【短編小説】目に見えない④

「で、浮気していた証拠とか、あるのかよ?」 小澤がストローの先端を噛みながら聞いてきた。グラスの中は空っぽで、アイスコーヒーの氷もなくなっていた。口の寂しさを持て余していた小澤はストローをしきりに噛んでいた。 下北沢にあるファミレスのボック…

【短編小説】目に見えない③

◆3章◆ 「小澤くん、強引だね」リサは呆気に取られたように言った。 「いつもあんな感じだよ」たまに、誘拐なんじゃないのかと思ってしまう。 「マユコ、ヤられちゃうのかな」 「たぶん、ホテルの部屋についたら、小澤は暖房を入れると思う」 「こんな暑い、…

【短編小説】目に見えない②

◆2章◆ 小澤は僕と同い年で、つまり25歳で、大学時代からの友人だ。この粗野で我侭で、強引な男とどこで馬が合ったかわからないが、大学を卒業して社会人3年目となった今でも、たまにこうして顔を合わせている。 僕は紙ナプキンで口元を抑えながら、小澤…

【短編小説】目に見えない①

◆1章◆ 「フェラをした直後にキスをせがんでくる女の神経が理解できない」 小澤はほとんど残っていないアイスコーヒーの底を、ストローでズーズー吸い上げながら言った。子鹿のようにつぶらな冷たい瞳で、こちらを上目遣いに見てくる。 僕は小澤の下衆な発言…

【書評】ティファニーで朝食を(トルーマン・カポーティ)

あらすじ 第二次戦下のニューヨークで、居並ぶセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜明けに鳴らしたのは他なら…

青春小説の金字塔!【書評】横道世之介 (吉田修一)

概要(あらすじ) 大学進学のため長崎から上京した横路世之介18歳。愛すべき押しの弱さと隠された芯の強さで、様々な出会いと笑いを引き寄せる。友の結婚に出産、学園祭のサンバ行進、お嬢様との恋愛、カメラとの出会い・・・。誰の人生にも温かな光を灯す、…